年齢と運動量に合わせた馬の餌の与え方ガイド

Horse Feeding

馬にとって「正しい餌の与え方(馬の餌管理)」は、健康やパフォーマンスを左右する最も重要な要素の一つです。年齢や運動量によって必要な栄養バランスは大きく異なり、適切な食事管理を行うことで、馬はより健康で長生きし、競技や作業においても最高の力を発揮できます。

この記事では、年齢別・運動量別の馬の餌の与え方を詳しく解説します。初めて馬を飼う方にもわかりやすく、プロの飼育者にも役立つ内容です。


🔹 馬の栄養管理の基本を理解する

🧠 馬の消化システム

馬は「単胃草食動物(non-ruminant herbivore)」であり、牛のように複数の胃を持っていません。
消化器官はとても繊細で、一日に少しずつ何度も食べることが自然なスタイルです。
大量の穀物を一度に与えると、疝痛(コリック)や消化不良の原因になります。

🍀 馬の基本的な餌の構成

  1. 粗飼料(Roughage):乾草・牧草・わらなど(全体の60〜80%が理想)
  2. 濃厚飼料(Concentrate):オート麦、トウモロコシ、配合飼料など
  3. ミネラル・ビタミン補給:カルシウム、リン、塩、ビタミンA・D・Eなど
  4. 清潔な水:1日に25〜50リットルが必要(運動量・気温により変化)

🔹 年齢別の馬の餌の与え方

🐴 1. 子馬(0〜6ヶ月)

この時期は骨や筋肉の発達が最も重要です。

✅ 餌の与え方のポイント

  • 生後1ヶ月まで:母乳が主食(100%)
  • 2〜3ヶ月:良質な乾草を少しずつ与え、タンパク質16〜18%の濃厚飼料を少量追加
  • 4〜6ヶ月:1日0.5〜1.5kgの濃厚飼料を目安に

⚠️ 注意点

  • 濃厚飼料の与えすぎは「骨の変形」を引き起こす可能性があります。
  • 定期的に歯と消化の様子をチェックしましょう。

🐎 2. 若馬(6ヶ月〜2歳)

成長が急激な時期。エネルギーとタンパク質のバランスが非常に重要です。

✅ 餌の与え方のポイント

  • 粗飼料:体重の1.5〜2%(良質な乾草を使用)
  • 濃厚飼料:体重の1〜2%(タンパク質14〜16%が目安)
  • ミネラル類:カルシウム、リン、ビタミンA・D・Eを補給

⚠️ 注意点

  • 毎月体重・体高を測定し、成長に合わせて餌の量を調整
  • 肥満は骨格の歪みや関節のトラブルにつながるので注意

🐴 3. 成馬・働く馬(3歳以上)

運動量に応じて栄養バランスを最適化する必要があります。

🏇 運動量別の目安

運動レベルエネルギー必要量濃厚飼料の割合
軽作業トレッキング、乗馬通常の1.2倍20〜30%
中作業競技用、ショー用通常の1.5倍40〜50%
重作業競馬・障害飛越通常の1.8〜2倍50〜60%

✅ 餌の与え方

  • 粗飼料:体重の1%以上を確保
  • 濃厚飼料:オート麦、トウモロコシ、配合飼料などを中心に
  • 油脂(植物油)を少量追加して効率的にエネルギー補給
  • 発汗量が多い馬には「電解質(エレクトロライト)」を補給

⚠️ 注意点

  • 1日3〜4回に分けて少量ずつ与える
  • 運動直後は60分ほど休ませてから餌を与える

🐴 4. 高齢馬(15歳以上)

高齢になると、歯の摩耗や消化能力の低下が起こります。
このため、消化しやすく栄養価の高い餌が必要です。

✅ 餌の与え方

  • シニア用配合飼料(タンパク質12〜14%)を使用
  • 乾草キューブや細かく刻んだ牧草で消化を助ける
  • 植物油やビタミンEを追加し、筋肉と免疫をサポート
  • カルシウム・ナトリウムなどのミネラルを補給

⚠️ 注意点

  • 歯の状態を6ヶ月ごとにチェック
  • 固い乾草や穀物は避け、ふやかした餌を与える

🔹 餌の管理に影響を与えるその他の要因

🌡️ 気候の違い

  • 寒い季節:体温維持のためにエネルギー量を増やす
  • 暑い季節:濃厚飼料を減らし、水と塩分を多めに補給

🚻 性別・生理的状態

  • 妊娠中の牝馬:妊娠後期にはタンパク質とカルシウムを増量
  • 種牡馬:繁殖期にはやや高エネルギーの餌が望ましい

🧂 水と塩分の管理

  • 常に清潔な水を用意(ぬるめの水を好む馬もいる)
  • 塩ブロック(ソルトブロック)を常設し、自由に舐めさせる

🔹 よくある間違いと注意点

  1. ❌「穀物をたくさん与えれば元気になる」
     ➡ 胃腸障害やコリックの原因になります。
  2. ❌「働かない馬には牧草はいらない」
     ➡ 誤り。牧草は消化器を健康に保つために不可欠です。
  3. ❌「水は少しで十分」
     ➡ 間違い。脱水はパフォーマンス低下や便秘の原因になります。
  4. ❌「配合飼料だけで十分」
     ➡ 粗飼料が不足すると消化不良やストレスの原因になります。

🔹 馬の餌の目安(1日あたり)

馬の種類体重粗飼料濃厚飼料タンパク質目安
子馬100〜200kg1〜2kg0.5〜1kg16〜18%
若馬200〜400kg3〜6kg2〜4kg14〜16%
軽作業馬400〜500kg5〜7kg2〜3kg10〜12%
競走馬450〜550kg6〜8kg4〜6kg12〜14%
高齢馬400〜500kg5〜7kg(細かく)2〜3kg12〜14%

🔹 プロの飼育者が実践する管理ポイント

  • ⏰ 毎日決まった時間に給餌する
  • 🌾 牧草の品質を常にチェック(カビ・変色に注意)
  • ⚖️ 馬の体重と活動に応じて餌を調整する
  • 🧘 食後すぐの運動は避け、休息時間を確保する

🔹 まとめ:馬の健康は日々の食事管理から

馬の餌やりは「量」よりも「バランス」が大切です。
年齢、運動量、体調に合わせて正しく与えることで、馬は健康で長生きし、常にベストなパフォーマンスを発揮します。

🐎 正しい栄養管理=健康で幸せな馬を育てる第一歩です。

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